駐妻Nがドイツの市民学校(VHS)に通学していたときのことや、ドイツ語学習、ドイツでの生活について思うさまに書き連ねております。
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あるクラスメートのこと

今日は、シリア人のクラスメート(男性)のおはなし。

 

シリアでジャーナリストとして働いていた彼は、宿題をまったくやってこないのです。
当然、彼には毎日のように先生からお小言が飛びます。
彼の言うことには「家(難民用のアパート)がせまくて、うるさいので勉強ができないんだ」と。
しかしどうしても宿題をやってきてほしい先生が「どこか家以外の場所でできない?」などと提案するも、クラスの最後まで彼は宿題を全然やってきませんでした。

クラスの初めには積極的に発言していたのに、だんだんと元気がなくなってきて。

そんな彼を見てクラスメートの一人は「プライドを捨てきれないんじゃないか」と言っていました。
シリアでクリエイティブな分野で活躍していた彼にとっては、難解なドイツ語の学習を半ば強制されることへの葛藤があったのかもしれません。
戦争さえなければ、ドイツへくる必要もなく、シリアでジャーナリストとして暮らせたのに…。


統合コースの存在は多くの移民にとって意義あるものですが、なかなか全てを救いきれない現実もあります。
それでもどうか、彼には頑張ってほしいと願うことしかできないのです。